下顎のオートローテーションってなに⁉️(矯正治療や噛み合わせに関わる重要な仕組み) | 大阪で矯正歯科40年の「橋本矯正歯科」

歯科や矯正治療の説明の中で「下顎のオートローテーション」という言葉を耳にしたことはありませんか？

普段の生活ではあまり使われない専門用語ですが、実は噛み合わせや顔貌（かおの見た目）に大きな影響を与える重要な現象です

本記事では、下顎のオートローテーションとは何か、どのようなメカニズムで起こるのか、そして矯正治療や歯科治療の場面でどのような意味を持つのかを分かりやすく解説していきます

下顎のオートローテーションとは？

オートローテーション（Auto Rotation）とは、直訳すると「自動的な回転」という意味です

歯科領域で用いられる「下顎のオートローテーション」とは、歯や顎の位置関係が変化したときに、それに合わせて下顎が自然に回転して位置を調整する現象を指します

特に「下顎頭（顎関節部分）」を支点として、下顎全体が前方または後方に回転することで、噛み合わせの位置や顔のバランスが変わるのが特徴です

下顎のオートローテーションは、以下のような状況で起こります

歯を上に伸ばしたり（挺出）、下に沈めたり（圧下）すると、その変化に合わせて下顎が自然に動きます

奥歯を失ったり、かみ合わせの高さが変化すると、下顎の位置が補正的に変わります

出っ歯や受け口の治療で噛み合わせの高さや位置を調整する際、下顎はオートローテーションを伴いながら正しい位置に誘導されます

子どもの成長過程や、加齢による歯の摩耗・歯槽骨の吸収により、自然に下顎の位置が変化することがあります

下顎のオートローテーションには大きく分けて 前方回転（時計回りの変化）と 後方回転（反時計回りの変化）があります

噛み合わせの高さが低くなると、下顎は前方かつ上方へ移動します
これにより、下顔面の高さが短くなり、フェイスラインがシャープに見えることもあります

噛み合わせの高さが高くなると、下顎は後方かつ下方に動きます
結果として下顔面が長く見えたり、口元の突出感が増す場合があります

矯正歯科治療では、単に歯を並べるだけでなく、下顎のオートローテーションをどのようにコントロールするか が治療の結果を大きく左右します

出っ歯のケースでは、奥歯を圧下して噛み合わせを低くすることで、下顎が前方回転し、横顔が改善することがあります

受け口の症例では、逆に噛み合わせを調整して下顎が後方回転するよう誘導することもあります

骨格性の不正咬合（骨格的な問題）に対しても、オートローテーションを利用することで、外科手術を避けられる場合もあるのです

下顎のオートローテーションは、単に「噛めるようになる」だけではなく、顔の見た目にも影響を与えます

矯正治療で「横顔がすっきりした」「フェイスラインがきれいになった」と感じる方が多いのは、オートローテーションの影響が大きいと考えられます

一方で、オートローテーションが理想的に働かない場合もあります

このような場合には、かえって噛み合わせが不安定になったり、見た目が理想と異なる方向に変化する可能性もあるため、専門的な診断と治療計画が欠かせません

下顎のオートローテーションとは、噛み合わせや歯の位置が変化したときに、下顎が自然に回転して新しいバランスをとる現象です