歯列矯正を検討している方にとって、「矯正期間の長さ」は避けて通れない悩みのひとつです。
一般的に矯正治療には1年半から3年ほどの時間がかかりますが、
「もっと早く治療を終わらせたい」
「できるだけ短期間で結果を出したい」
という声が増えてきました。
そのようなニーズに応える先進的な方法として注目されているのが、加速矯正装置です。
今回は、加速矯正装置とは何か、どのようにして矯正治療をスピードアップできるのか、安全性や費用、導入に向いている人の特徴まで詳しく解説します。
加速矯正装置とは?近赤外線の力で歯の移動をサポート

加速矯正装置は、アメリカのBiolux Research社によって開発された装置で、近赤外線(Near-Infrared Light, NIR)を利用して骨の代謝を活性化させるのが特徴です。
歯の移動は「骨のリモデリング」と呼ばれる骨の新陳代謝によって行われます。
加速矯正装置は、1日たった10分間、口腔内に装置を装着するだけでこの代謝を促進し、歯が動きやすい状態をつくります。
特徴まとめ
| 項目 | 内容 |
| 使用時間 | 1日10分(上下各5分) |
| 使用場所 | 自宅でOK |
| 適応装置 | マウスピース矯正(特にインビザライン)やワイヤー矯正にも併用可 |
| 動作原理 | 850nmの近赤外線を照射し骨細胞の代謝を促進 |
| メリット | 治療期間の短縮、装置の適合性向上、痛みの軽減が期待される |
加速矯正装置の仕組み:なぜ矯正が早くなるのか?
加速矯正装置は、細胞内のミトコンドリアに働きかけ、エネルギー産生(ATP生成)を活性化させることで、骨のリモデリングを促進します。
これは「光バイオモジュレーション(Photobiomodulation)」という医療分野でも注目されている技術で、組織の再生や治癒を助ける働きがあります。
この技術を矯正治療に応用することで、歯の動きを加速させることが可能になったのです。
加速矯正装置の使用方法:毎日の習慣として簡単に取り入れられる

使用方法は非常にシンプルで、毎日自宅で装置を口にくわえて10分間照射するだけ。
装置の両側にシリコンパッドがついており、そこから発する近赤外線が歯肉や歯槽骨に届くように設計されています。
1回の照射時間は上下それぞれ5分、合計10分でOK。
テレビを見ながら、入浴中に、読書しながらなど、「ながら使用」が可能なので、忙しい方でも無理なく取り入れられるのが魅力です。
加速矯正装置はどれくらい矯正期間を短縮できるの??
治療期間の短縮効果には個人差があるものの、臨床的には1/2~1/3程度に期間の短縮が期待できるとされています。
例:インビザライン矯正での活用
インビザラインの治療では、通常10~14日ごとにマウスピースを交換していきますが、加速矯正装置を併用することで、5日ごとの交換が可能になるケースも多いです。
これにより、数ヶ月~半年単位で治療期間を短縮することができます。
加速矯正装置の安全性と副作用

加速矯正装置は、FDA(アメリカ食品医薬品局)やCE(欧州の安全基準)で承認を受けており、安全性は国際的に認められています。
- 安全性に関するポイント
- 非侵襲的(歯や骨を削らない)
- 痛みなし(刺激や違和感はほとんどない)
- 副作用ほぼなし(ごくまれに違和感を感じることがある程度)
ただし、以下のような方には使用が制限される場合があります。
- 妊娠中・授乳中の方
- 光感受性の持病や投薬を受けている方
- 骨代謝に関連する疾患がある方(例:骨粗しょう症)
加速矯正装置の費用は?
加速矯正装置は自由診療(保険適用外)のため、使用するには追加費用が必要です。
医院ごとに価格設定は異なりますが、以下が一般的な相場です。
| 項目 | 費用目安 |
| 加速矯正装置本体 | 約10万円~15万円 |
| 管理料(診察費含む) | 通常の矯正治療費に含まれることが多い |
当院では全てのインビザライン矯正治療の患者様の治療費に含まれています。
加速矯正装置はこんな人におすすめ!
- できるだけ短期間で矯正を終えたい方
- インビザライン治療を選んでいて、マウスピース交換を早めたい方
- 痛みを抑えつつ効率的に治療したい方
- 忙しくて通院回数を減らしたい方
特に「期日が決まっている」(結婚式・就職・留学など)という方には、時間を有効に使える加速矯正装置の併用は非常に効果的です。
まとめ:加速矯正装置で矯正治療をより快適に、短期間で

加速矯正装置は、これまで長期間を要していた矯正治療を、より短期間かつ効率よく行うための革新的なサポート装置です。
近赤外線を活用した安全なテクノロジーにより、自宅で簡単に使用できるのも大きな魅力です。




