「矯正治療で歯根が吸収されることがある」

と耳にして、不安を感じたことはありませんか?

矯正治療を検討している方、あるいはすでに治療を始めている方にとって、「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」という言葉は見過ごせない情報です。

今回は、矯正治療と歯根吸収の関係について、原因や症状、リスクの程度、そして予防策までをわかりやすく解説します。

正しい知識を持つことで、より安全に矯正治療に取り組むことができます。

歯根吸収とは?

歯の根っこが短くなる現象

歯根吸収とは、歯の根(歯根)が部分的または全体的に溶けて短くなる状態を指します。

通常、歯は骨の中にしっかりと根を張って支えられていますが、何らかの刺激や力が加わることで歯根が徐々に吸収されることがあります。

特に矯正治療中に「力をかけて歯を動かす」ことによって、ごく一部の人に歯根の短縮(歯根吸収)が起こる場合があると知られています。

矯正治療と歯根吸収の関係

矯正治療では、ブラケットやワイヤー、マウスピースなどの装置を使って歯を意図的に動かすために、持続的な力を加えます。

この力が歯根や周囲の骨にストレスを与えることがあり、結果として歯根吸収が引き起こされることがあるのです。

■ なぜ吸収されるのか?

過剰な矯正力:強すぎる力や急激な歯の移動は、歯根に負担をかけ吸収を引き起こすリスクを高めます。

治療期間の長期化:長い治療期間も歯根への負荷が積み重なり、吸収の可能性が高まります。

個人差(体質):歯根吸収が起こりやすい体質の方もいます。家族に経験者がいる場合は要注意。

歯の形態異常:先天的に歯根が短い、曲がっている、先端が細いなどの特徴があるとリスクが上がります。

どのくらいの頻度で起こるの?

矯正治療において歯根吸収は比較的よく見られる副作用のひとつで、全く珍しい現象ではありません。

● 軽度の歯根吸収(1~2mm)

全矯正患者の20~30%程度に見られます。

これは臨床的にほとんど問題とされない範囲で、症状も自覚されないことが多いです。

● 中等度~重度の歯根吸収

全体の2~5%程度に見られます。

ごくまれに進行性の吸収が起こり、治療方針の変更や中断が必要になるケースもあります。

歯根吸収が進むとどうなるの?

多くの場合、歯根吸収は一定のところで自然に止まりますが、進行してしまうと以下のような影響が出ることがあります。

歯の寿命が短くなる

歯根が短くなることで歯の「支え」が弱くなり、将来的に動揺しやすくなったり、抜けやすくなるリスクがあります。

歯のぐらつき

特に噛み合わせの力が強い奥歯や前歯に歯根吸収が進行した場合、噛むたびに揺れる感じが出ることもあります。

歯の神経への影響は少ない

歯根吸収は歯の根の外側から始まるため、歯の神経(歯髄)には直接影響しにくいとされています。

歯根吸収が心配な人が知っておきたいこと

初診時の検査でリスクを見極める

矯正歯科では治療前にレントゲンやCTを使って歯根の形や状態を確認します。

もともと歯根が短い人や歯根の異常がある人は、治療方針が変わることもあります。

適切な矯正力を使うことが大切

無理なスピードで歯を動かすことが、歯根吸収を悪化させる要因になります。

経験豊富な矯正歯科医師に任せることが、リスク軽減の第一歩です。

歯根吸収の少ない装置としまして

  • マルチループ矯正(弱い力を持続的にかける事が出来る装置)
  • インビザライン矯正(一つのマウスピースで動かす量が最大で0.25mm)が挙げられます。

定期的なレントゲン検査が重要

治療中にも歯根の状態をチェックするためのレントゲン検査が必要です。

変化を早期に発見すれば、治療方法の見直しで吸収の進行を防ぐことが可能です。

歯根吸収があっても矯正は続けられる?

歯根吸収が確認された場合でも、多くの場合はそのまま治療を継続できます。

ただし、歯根の状態によっては以下のような対応が取られます。

  • 矯正力を弱めて進行を抑える
  • 歯の移動スピードを落とす
  • 一部の歯の動きを中止する
  • 治療を一時中断して様子を見る

また、治療後は保定(リテーナー)による歯の安定化が非常に重要になります。

矯正治療と上手に付き合うために

歯根吸収は決して怖いだけの現象ではなく、多くの場合、軽度で問題にならないケースがほとんどです。

大切なのは、事前にリスクを理解し、信頼できる歯科医師のもとで適切な治療を受けることです。

【安心して矯正治療を進めるためのチェックリスト】

  • 治療前にしっかりと検査を受けたか
  • 歯根のリスクについて説明を受けたか
  • 定期的にレントゲンで経過観察をしているか
  • 過度にスピード重視の治療方針になっていないか

まとめ

矯正治療は、見た目の美しさだけでなく、かみ合わせや全身の健康にも関わる重要な医療行為です。

しかし、歯を動かす以上、歯根吸収のような副作用が起こるリスクもゼロではありません。