インビザライン(マウスピース矯正)では、歯の移動を促進するためにゴム(エラスティック)を併用することがあります。
特に、アップダウンエラスティックは、上下の噛み合わせを整えるために重要な役割を果たします。
しかし、正しく使用しなければ、十分な効果を得られなかったり、治療期間が延びてしまう可能性もあります。
ここでは、アップダウンエラスティックの効果を最大限に引き出すための正しい掛け方や注意点について説明させて頂きます。
アップダウンエラスティックとは?

アップダウンエラスティックの役割
アップダウンエラスティックは、上下の歯列間でゴムを掛けることにより、垂直方向の歯の位置を調整する目的で使用されます。
主な効果として、以下のようなものがあります。
- 咬合の安定化:上下の歯がしっかりと噛み合わさる様にする。
- 過蓋咬合(深い噛み合わせ)の調整:上の前歯が下の前歯を覆いすぎている状態の場合、奥歯を挺出させる事により改善させる。
その場合アライナーの上顎前歯部にバイトランプを設ける事により臼歯部の挺出がより加速し過蓋咬合が改善する。
インビザラインとエラスティックの組み合わせ
インビザライン単体では、垂直的な歯の移動や過度な回転移動が苦手なケースがあります。
そこで、エラスティックを併用する事で、より細かい噛み合わせの調整をする事が可能になります。
インビザラインでのアップダウンエラスティックの装着には、マウスピースに設けられた専用の「エラスティックボタン」や「ボタンンカット」と呼ばれるスリットを利用する方法が一般的です。
効果的なアップダウンエラスティックの掛け方

正しい掛け方のポイント
アップダウンエラスティックを効果的に使用するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
① 指示された通りの位置に掛ける
歯科医師の指示に従い、指定された歯とゴムの掛け方を正確に守ることが大切となります。
適切な位置に掛けないと、歯が想定通りに動かず、治療が進まない原因になります。
② ゴムのサイズ・強さを守る
エラスティックにはさまざまなサイズや強度(軽い・中程度・強い)があります。
歯科医師が処方した種類を正しく使用することで、適切な力を加えることができます。
③ 1日20時間以上の装着を心がける
インビザラインのマウスピース同様、エラスティックも1日20時間以上の装着が推奨されます。
食事や歯磨き以外の時間は、できるだけ装着し続けることが効果を高めるポイントです。
④ 片側だけでなく両側均等に掛ける
片側だけにエラスティックを掛けると、左右のバランスが崩れることがあります。
歯科医師の指示がない限り、左右対称にゴムを掛けるようにしましょう。
⑤ 毎日新しいゴムに交換する
エラスチックは長時間使用すると劣化し、弾力が失われます。
そのため、毎日一度新品のゴムに交換し、常に適切な力をかけられるようにしましょう。
アップダウンエラスティックを使用する際の注意点

エラスティックを掛け忘れない工夫
エラスチックの装着を忘れてしまうと、治療の進行が遅れてしまいます。
以下のような工夫をすると、掛け忘れを防げます。
- 食事後にすぐに装着する習慣をつける
- 予備のエラスティックを持ち歩く
正しい取り扱い方法
エラスティックを清潔に保ち、トラブルを防ぐために以下の点にも注意しましょう。
- 食事中は必ず外す(ゴムが切れたり、食べ物のカスが付着するのを防ぐ)
- ゴムを装着する前に手を洗う(衛生管理を徹底する)
- エラスティックを強く引っ張りすぎない(過度な力がかかるとゴムが切れたりボタンが外れる事がある)
痛みや違和感への対処
装着初期はエラスティックの力で歯が動くため、痛みを感じることがあります。
痛みが強い場合は、以下の方法を試してみましょう。
- 装着時間を短縮しない(ゴムを外すと歯の動きが戻ってしまうため、装着を継続する方が慣れやすい)
- 痛みが続く場合は歯科医師に相談する(必要に応じてゴムの強さを調整してもらう)
アップダウンエラスティックを活用して効率的に矯正治療を行いましょう。

インビザライン矯正において、アップダウンエラスティックは噛み合わせを整えるために重要な役割を果たします。
正しく装着し、適切な使用方法を守ることで、よりスムーズに理想の歯並びへと近づくことができます。
歯科医師の指示を守りながら、日常生活の中でしっかりとエラスティックを活用しましょう!