近年、目立たない矯正方法として人気を集めているマウスピース矯正。
その中でも代表的な存在がインビザラインです。
透明で取り外し可能なこの装置は、
「見た目が気にならない」
「痛みが少ない」
「衛生的に保ちやすい」
などの理由から、多くの患者さんに選ばれています。
では、インビザラインはすべての歯並びの悩みに対応できるのでしょうか?
今回は、インビザラインで対応可能な症例や制限、注意点について詳しく解説します。
インビザラインは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発した透明のマウスピース型矯正装置を使う矯正治療です。
歯型のデータを元に作られたオーダーメイドのマウスピースを段階的に装着していくことで、歯並びを少しずつ整えていきます。
インビザラインで対応可能な主な症例

インビザラインは年々進化を遂げており、対応できる症例の範囲が広がっています。
以下のような症例には高い効果が期待できます。
軽度~中度の歯並びの乱れ(叢生・すきっ歯)
軽いガタガタの歯並び(叢生)や、すきっ歯(空隙歯列)であれば、ほとんどのケースで対応可能です。
出っ歯(上顎前突)
前歯が前方に突出している出っ歯も、インビザラインで改善が期待できます。
ただし、骨格的な問題が強い場合は外科的処置が必要になることもあります。
受け口(反対咬合)
軽度の受け口であれば、マウスピース矯正でも改善可能です。
骨格に由来する重度のケースでは対応が難しい場合があります。
開咬(上下の歯が咬み合わない)
奥歯は咬んでいるのに前歯が開いているような開咬も、インビザラインで改善が可能になってきています。
特に舌癖などの習慣に起因する開咬には有効です。
過蓋咬合(噛み合わせが深すぎる)
上の前歯が下の前歯を覆い隠してしまう過蓋咬合も、インビザラインで改善可能なケースが増えています。
インビザラインで対応が難しい症例

一方で、すべての症例に対応できるわけではありません。
以下のようなケースは、マウスピース単独では難しく、他の方法との併用や外科的治療が必要になる場合もあります。
骨格性の不正咬合(重度の出っ歯・受け口)
顎の大きさや位置に問題がある骨格性の不正咬合は、インビザライン単独では改善できないことがあります。
この場合は、外科矯正(顎の骨を動かす手術)と組み合わせる必要があります。
重度の叢生(歯が大きく重なっている)
歯を並べるスペースが極端に不足している場合、抜歯や顎の拡大が必要になります。
このようなケースではワイヤー矯正の方が向いていることもあります。
奥歯の大きな移動や回転
奥歯の大きな位置移動や、歯の強いねじれ(回転)を伴うケースでは、マウスピースだけでは十分な力がかからないため、ワイヤーとの併用が必要になることがあります。
インビザラインの適応かどうかは“精密検査”がカギ

インビザラインが向いているかどうかは、口腔内の状態・骨格・歯の動きやすさなどを総合的に判断する必要があります。
具体的には、以下のような診断が行われます。
- 歯のレントゲン写真(パノラマ・セファロ)
- 口腔内スキャン(iTeroなど)
- 噛み合わせや顎の動きのチェック
- 顔貌写真によるバランス確認
これらの情報をもとに、インビザラインで計画通りに歯が動くかをシミュレーション(クリンチェック)し、治療の可否が決定されます。
最近ではインビザラインで「複雑な症例」にも対応可能に??
近年は「インビザライン・ファースト(小児向け)」や「インビザライン・コンプリヘンシブ(重度症例向け)」といったプランが用意されており、対応可能な症例が拡大しています。
また、「アタッチメント」や「エラスティック(ゴム掛け)」といった補助的な手法を併用することで、従来よりも高精度なコントロールが可能になっています。
まとめ:インビザラインは万能ではないが、進化し続けている矯正法

インビザラインは多くの症例に対応可能な矯正方法ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。
特に、骨格性の問題や重度の歯の重なりがある場合は、他の治療法の方が適していることもあります。
しかし技術の進歩により、インビザラインは年々対応範囲を拡大しており、「以前は適応外だった症例」でも対応可能になるケースも増えています。




