原因と対処法をわかりやすく解説
「気づいたら、大人になっても乳歯が残っていた…」
そんなケース、実は珍しくありません。
通常、乳歯は6歳ごろから順に抜け始め、12歳前後で全て永久歯に生え変わるのが一般的です。
しかし、中には20代、30代、あるいはそれ以上の年齢になっても、1本や2本の乳歯が残っている人がいます。
この記事では、大人になっても乳歯が抜けない理由と、その下にあるはずの永久歯の行方、さらにどう対処すべきかを丁寧に解説します。
そもそも乳歯って何本あるの?

まずは基本の確認から。
人間の乳歯は全部で20本。
上あご・下あごそれぞれに左右5本ずつ生えています。
通常は6歳頃から乳歯が抜け始め、12~13歳で永久歯(全部で28~32本)に生え変わります。
この自然な歯の交代がうまくいかないと、大人になっても乳歯が口の中に残ったままになります。
大人になっても乳歯が抜けない主な原因

先天性欠如(せんてんせいけつじょ)
もっとも多い原因がこれです。
本来乳歯の下には、永久歯がスタンバイしていて、成長とともに押し上げて乳歯を抜かせます。
しかし、永久歯が「もともと存在しない」ケースがあり、それを「先天性欠如」と呼びます。
日本人の10人に1人ほどが、1本以上の永久歯が先天的に欠如していると言われています。
特に多いのは「下の第二小臼歯」や「上の側切歯」です。
永久歯の埋伏(まいふく)
永久歯は存在していても、何らかの理由で骨の中や歯ぐきに埋まったまま出てこない状態を「埋伏歯」といいます。
スペース不足、乳歯の早期脱落、顎の成長不全などが原因で、本来の場所に萌出(ほうしゅつ=歯が生えること)できずに止まってしまうのです。
位置異常(異所萌出)
永久歯が正しい位置からではなく、ずれた場所に生えてしまった場合、乳歯が抜けるきっかけが起きず、そのまま残ってしまいます。
結果として、乳歯と永久歯が重複して存在する「二重歯列」になることもあります。
過剰歯の存在
まれに、通常より多くの歯(過剰歯)が形成され、永久歯の生える道をふさいでしまうケースがあります。
この場合、乳歯が押し上げられず、抜けるタイミングを失ってしまいます。
永久歯はどこに行ってしまったの?

乳歯の下にあるべき永久歯が「見えない」ということは、次のような状態が考えられます:
- 完全に欠如していて存在しない(先天性)
- 骨の中に埋まっている(埋伏)
- 横やナナメに位置して生えられない状態
- 他の歯や組織に押されて成長できていない
歯科医院ではレントゲンやCTスキャンを使って、永久歯の有無や位置を詳しく調べることができます。
自分では見えない部分だからこそ、専門的な検査が不可欠です。
大人の乳歯、そのまま放っておいてもいい?

「抜けてないけど、痛くないし問題ないから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。
ですが、大人になった乳歯は、永久歯よりも寿命が短く、トラブルの原因になりやすいため、放置はおすすめできません。
乳歯は構造的に永久歯より柔らかく、歯根(歯の根っこ)も短いため、
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 噛み合わせが乱れやすい
- 周囲の歯に負担がかかる
- 歯並びや顔貌に影響する
といった問題を引き起こすリスクがあります。
大人の乳歯が残っている場合の対処法

乳歯が残っている場合、永久歯の有無や口の状態によって対処方法が異なります。
以下に主な選択肢をまとめます。
永久歯が存在している場合
→ 萌出を促す or 外科的に出す
永久歯が骨の中に埋まっている場合、自然に出てくる見込みがあれば、矯正治療などでスペースを確保して様子を見ます。
位置異常や過剰歯などで出てこられない場合は、外科的に開窓(かいそう)し、引っ張り出す処置が行われることもあります。
永久歯が欠如している場合
→ 乳歯を延命 or 補綴処置(ほてつしょち)
乳歯がまだ健康でしっかりしている場合、可能な限り長持ちさせる治療を行います。
ただし、将来的に抜けてしまった場合は、以下のような補綴(歯を補う)方法を検討します:
- ブリッジ:両隣の歯を土台にして人工歯を固定
- インプラント:人工の歯根を埋め込み、人工歯を装着
- 部分入れ歯:取り外し可能な義歯を使う選択肢も
患者さんの年齢や口の状態、ライフスタイルに応じてベストな方法を歯科医師と相談しながら選んでいきます。
まとめ:乳歯が抜けないのは「気づき」がカギ

大人になっても乳歯が残っていることに気づくのは、歯科健診やレントゲンを撮った時がほとんどです。
見た目に異常がなくても、乳歯が寿命を迎える前に状態を把握し、必要な処置を受けておくことで、大きなトラブルを防ぐことができます。
大切なのは、「異変に早く気づくこと」そして「歯科医に相談すること」。
乳歯が残っているからといって焦る必要はありませんが、長い目で見て自分の歯を守るための第一歩を、今から踏み出してください。




