親知らずの抜歯にはさまざまな方法がありますが、その中の一つに「2回法」と呼ばれる方法があります。

これは、親知らずを一度にすべて抜くのではなく、2回に分けて処置を行う方法です。

主に埋没している親知らずや、抜歯が難しいケースで採用されることが多いです。

一般的に、親知らずの抜歯は「1回法(即時抜歯)」「2回法(分割抜歯)」に分かれます。

1回法では、歯茎を切開し、歯を一気に抜いてしまうのに対し、2回法では以下のようなプロセスを踏みます。

2回法の抜歯の流れ

第1回目の処置(歯冠切除)

親知らずの歯の上部(歯冠部)を取り除く。

この段階では歯根を残すため、抜歯後のダメージが少ない。

歯茎を縫合し、一定期間回復を待つ(数週間~数か月)。

第2回目の処置(歯根除去)

1回目の処置で露出した歯根を取り除く。

傷の治りを見ながら慎重に処置を行う。

必要に応じて歯茎を縫合し、回復を待つ。

この方法は、特に神経や血管に近い親知らず、深く埋まっている親知らず、周囲の骨に影響を与えやすいケースなどで選択されます。

2回法のメリット

2回法の抜歯には、以下のような利点があります。

神経損傷のリスクを減らせる

下顎の親知らずの周囲には「下歯槽神経」が通っています。

1回で抜歯すると、神経を傷つけるリスクが高くなりますが、2回に分けることで神経を圧迫する力を減らし、安全に処置できる可能性が高まります。

術後の腫れや痛みを軽減できる

親知らずを一度に抜くと、抜歯後の腫れや痛みが強く出ることがあります。

しかし、2回に分けることで組織へのダメージを抑えられるため、回復が早くなると言われています。

特に骨を削る必要がある場合、2回に分けることで負担が軽減されます。

顎の骨や隣の歯への影響を抑えられる

親知らずが深く埋まっている場合、無理に抜歯すると周囲の骨や隣の歯にダメージを与える可能性があります。

2回法なら、徐々に歯を取り除くため、周囲の組織を守りながら抜歯できます。

ドライソケットのリスクを低減できる

抜歯後に血餅(かさぶたのようなもの)が剥がれてしまうと、「ドライソケット」という強い痛みを伴う状態になることがあります。

2回法では傷の治りを待ちながら段階的に抜歯するため、ドライソケットのリスクが低くなると言われています。

2回法のデメリット

2回法には多くの利点がありますが、以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

治療期間が長くなる

1回の抜歯で完了するわけではなく、2回に分けるため治療期間が長引くことがあります。

特に、1回目の抜歯後に歯茎が回復するまで数週間~数か月待つ必要があるため、短期間で終わらせたい人には向いていません。

通院回数が増える

1回の抜歯で終わるケースと比べて、2回の処置が必要になるため通院回数が増えることがデメリットになります。

忙しい人にとっては負担に感じるかもしれません。

2回目の抜歯まで違和感が残ることがある

1回目の処置で歯冠を除去した後、歯根が残った状態になります。

そのため、一時的に違和感を覚える場合があることもデメリットの一つです。

ただし、通常は時間の経過とともに慣れることが多いです。

費用が高くなることがある

通常の抜歯に比べて処置が2回に分かれるため、費用が高くなることがある点も考慮すべきポイントです。

ただし、保険適用になる場合が多いため、事前に歯科医師に相談するとよいでしょう。

2回法が適しているケース

2回法の抜歯は、すべての親知らずに適用されるわけではありません。

以下のようなケースでは、2回法が推奨されることが多いです。

  • 下歯槽神経に近い親知らず(神経損傷のリスクを避けるため)
  • 骨に埋まっている親知らず(無理に抜かないため)
  • 顎の骨が薄い、または歯の根が深く食い込んでいる場合
  • 過去に顎の手術を受けたことがある場合(骨の状態を考慮するため)
  • 高齢者や回復力が低下している方(体への負担を抑えるため)

まとめ

親知らずの抜歯「2回法」は、1回で抜くのが難しい親知らずに対して、安全性を高めるために行われる方法です。

特に神経損傷や術後の痛み・腫れを軽減するメリットがありますが、治療期間が長くなる、通院回数が増えるといったデメリットもあります。