外科矯正を避ける為のマルチループワイヤーによる上顎前突患者(出っ歯)の歯列矯正における咬合平面の変化について | 大阪で矯正歯科40年の「橋本矯正歯科」

特にマルチループワイヤー矯正を出来ない矯正歯科では直ぐに歯を抜きたがると言うか抜かざるを得ないと言うか、真っ直ぐなワイヤーを用いての矯正治療では抜く以外に方法が有りません。

その為当院では出来るだけ非抜歯で矯正治療を行う為、マルチループワイヤーを用いて咬合平面を変化させる事により治療を行っています。

今回のお話は歯科医師が読んでも中々理解し難い内容ですのでサラッと流して頂ければ結構です。

はじめに

上顎前突は、上顎が前方に突出している状態を指し、審美的・機能的な問題を引き起こすことがあります。

治療法としては、非抜歯矯正でマルチループワイヤー（MEAW：Multiloop Edgewise Archwire）を用いた矯正治療は、歯の三次元的な動きをコントロールできるため、有効な方法の一つです。

今回はマルチループワイヤーによる上顎前突の治療において、咬合平面がどのように変化し、それが治療にどのような影響を与えるのかを詳しく解説します。

マルチループワイヤーは、多数のループを組み込むことで、垂直的および水平方向の歯の移動をコントロールできる装置です。

上顎前突の矯正では、以下のような目的で用いられます。

上顎前突の患者では、治療の過程で咬合平面が前上がりになることが一般的です。

この変化の理由は以下の通りです。

上顎前歯の圧下と後方移動：前歯を後退させる際、適切な力を加えることで咬合平面の前歯部が上昇する。

下顎の前方回転：咬合平面が前上がりになることで、下顎が前方回転し、オーバージェット（前歯の前後的なズレ）が改善される。

機能的な咬合の獲得：適切な咬合接触が得られ、咀嚼機能の向上につながる。

マルチループの特性を活かし、上顎臼歯部の挺出と前歯部の圧下を同時に行うことで、より良い咬合平面を形成します。

上顎前突の治療では、個々の患者の骨格的・歯列的特徴を詳細に分析し、適切な治療計画を立案します。

マルチループワイヤーを装着し、適切な力を加えて歯の移動をコントロールします。

前歯部への後方移動力を加えることで、突出した前歯を整える。

臼歯部の挺出を促し、咬合平面を調整。

定期的なワイヤー調整により、治療目標に向けた歯の動きを管理。

歯の移動が完了した後は、リテーナーを装着し、後戻りを防ぎます。

固定式リテーナーや可撤式リテーナーを使用し、治療結果を維持。

長期的なフォローアップを行い、再発リスクを管理。

マルチループワイヤーを用いた上顎前突患者の矯正治療では、咬合平面の変化が治療結果に大きく影響を与えます。

特に、咬合平面を前上がりにすることで下顎の前方回転を促す。

臼歯部の挺出と前歯部の圧下を組み合わせることで、機能的な咬合を構築する。

長期的な保定により、治療効果を安定させる。

マルチループワイヤーを活用することで、外科矯正を回避しながら、より自然な歯列と咬合を形成することが可能となります。

患者ごとの状態を考慮しながら、適切な治療戦略を立てることが求められます。