はい、それは正しくありません。
歯は「歯冠」からできるのではなく、「歯胚(しはい)」という組織の発生過程を経て形成されます。
歯の発生過程
歯の発生は、胎生期(お母さんのお腹の中にいる間)に始まります。
主に以下の4つの段階を経て、歯が形成されます。
① 歯堤(してい)の形成

胎生6週ごろ、口の中の上皮細胞が増殖し、歯の基盤となる「歯堤」ができます。
この歯堤が成長し、後の歯のもととなる「歯胚(しはい)」を作ります。
② 歯胚の発達(歯蕾・歯盃・歯鐘の段階)
歯蕾(しらい)期(胎生7~8週)
歯胚が増殖して、小さな芽のような構造(歯蕾)ができます。
歯盃(しはい)期(胎生9~10週)
歯蕾がさらに成長し、くぼんだ形になって「歯盃」と呼ばれる段階になります。
歯鐘(ししょう)期(胎生11~12週)
歯盃がさらに変化し、鐘のような形になり、「エナメル器」と「歯乳頭」「歯小嚢(ししょうのう)」が形成されます。
③ 歯の組織の形成

歯鐘期になると、歯の主要な組織(エナメル質・象牙質・歯髄・歯根膜・歯槽骨)が作られ始めます。
象牙質とエナメル質の形成(胎生14~18週ごろ)
象牙質(ぞうげしつ):歯乳頭(将来の歯髄になる組織)から象牙芽細胞が象牙質を作ります。
エナメル質(えなめるしつ):象牙質ができた後、エナメル芽細胞がエナメル質を作ります。
歯根の形成(出産前後~幼児期)
歯根(しこん):歯が萌出する頃に、根が作られ始めます。
歯根膜(しこんまく):歯と歯槽骨(しそうこつ)をつなぐ組織が作られます。
「歯冠から歯ができる」の誤解
歯冠は、歯の中でも一番硬い部分(エナメル質)に覆われていますが、最初にできるのは象牙質です。
- 象牙質が先に作られ、その後エナメル質が覆う
- 歯冠ができた後に歯根が形成される
つまり、「歯冠から歯ができる」のではなく、歯胚の発生から象牙質→エナメル質→歯根の順番で形成されるというのが正しい流れです。
まとめ

歯は「歯冠」から作られるのではなく、「歯胚」から発生する。
象牙質が最初に作られ、次にエナメル質が形成される。
歯冠が完成した後、歯根が形成される。
だから親知らずの抜歯は歯根が出来ないうちに抜くのがベストって事につながります。




