過蓋咬合とは?
過蓋咬合(ディープバイト)とは、上下の歯が通常よりも深く噛み合い、下の前歯がほとんど見えない状態になる噛み合わせの異常のことを指します。
この状態では、歯や顎関節に負担がかかりやすく、口腔内の健康にさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
過蓋咬合の原因

過蓋咬合の原因は以下のような要因が考えられます。
遺伝的要因:親から受け継ぐ顎の形状や歯並びが影響することがあります。
顎の成長異常:上顎の成長が過剰だったり、下顎の成長が不足したりすることで、噛み合わせのバランスが崩れます。
歯の喪失:特に奥歯を失ったまま放置すると、前歯に過度な力がかかり、噛み合わせが深くなってしまいます。
口腔習癖:指しゃぶりや舌癖(舌を前歯に押し付ける習慣)などが、歯列や噛み合わせの異常を引き起こすことがあります。
過蓋咬合の治療方法

過蓋咬合の治療方法は、患者の年齢や症状の程度によって異なります。
以下に代表的な治療法を紹介します。
3.1 矯正治療
(1)ワイヤー矯正
ワイヤー矯正(ブラケット矯正)は、歯に金属やセラミックのブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を徐々に動かす方法です。
過蓋咬合の治療では、
- 奥歯の高さを調整して前歯の噛み込みを浅くする
- 下顎を適切な位置に誘導する
といったアプローチが取られます。
(2)マウスピース矯正(インビザライン)
透明なマウスピースを用いる矯正方法です。
比較的軽度の過蓋咬合であれば、この方法で改善が可能です。
ただし、重度の場合はワイヤー矯正が推奨されることがあります。
(3)バイトプレートの使用
バイトプレートとは、上顎の内側に装着する取り外し可能な装置です。
下の歯が深く噛み込むのを防ぎ、顎の正しい成長を促します。
特に成長期の子どもに有効な治療法です。
3.2 外科的治療

重度の過蓋咬合の場合は、顎の骨の形状を調整する外科手術が検討されることがあります。
外科矯正手術(顎骨切り手術):下顎の位置が極端に後退している場合、骨の一部を切除して適切な位置に移動させる手術が行われます。
3.3 その他の治療方法
咬合調整:歯の表面を少し削り、噛み合わせのバランスを整える方法です。
ただし、根本的な改善には矯正治療が必要な場合が多いです。
筋機能療法(MFT):舌や口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行い、正しい舌の位置や唇の動きを習慣化することで、噛み合わせの改善を図ります。
治療のメリットとリスク

メリット
- 見た目の改善
- 噛む機能の向上
- 顎関節症のリスク軽減
- 歯の寿命を延ばす
リスク
- 矯正治療の期間が長くなることがある
- 一時的な違和感や痛み
- 外科手術が必要な場合、術後のダウンタイムが発生する
まとめ

過蓋咬合は見た目だけでなく、口腔内の健康にも影響を与える問題です。
軽度の場合は矯正治療で対応できますが、重度の場合は外科的な処置が必要になることもあります。





